「今日まで生きていてくれて、ありがとう」 出産の日を迎えるまで、私の心にあったのはその祈りだけでした。
突然の破水、そして「申し訳なさ」との葛藤
当初は37週0日の「正期産」に入ってからの予定帝王切開が決まっていました。 ところが、そのわずか5日前。夜中に突然の破水が私を襲いました。
羊水過多による破水のリスクは覚悟していたつもりでしたが、いざその時が来ると「ついに来たか」という緊張感が走りました。それと同時に、こみ上げてきたのはやるせない思いでした。
「あと5日だったのに……。早産にさせてしまって、ごめんね」 正期産までお腹にいさせてあげられなかった申し訳なさと、これまでずっと怯えていた臍帯潰瘍への恐怖。複雑な感情が入り混じる中、私は緊急帝王切開の術台へと向かいました。
恐怖を吹き飛ばした、娘の生命力
「もし、お腹の中で何か起きていたらどうしよう」 手術が始まる直前まで、その不安が頭を離れることはありませんでした。しかし、そんな私の弱さを吹き飛ばしたのは、娘自身の圧倒的な生命力でした。
静まり返った手術室に響き渡った、高らかで、力強い産声。 その声を聞いた瞬間、張り詰めていた糸が切れ、目からは熱い涙が溢れ出しました。
産声を聞いた後、私の横に赤ちゃんを連れてきてくれて、初めて顔を見て手を握りました。
「生きて会えた。本当によかった……!」
その瞬間のぬくもりと安堵は一生忘れられない光景となりました。
離ればなれの夜と、夫が見せてくれた姿
感動も束の間、娘はそのままNICU(新生児集中治療室)へと運ばれ、挿管などの処置が行われました。私は術後のため安静が必要で、娘のそばに行くことは叶いません。
そんな私に代わってNICUで面会してくれたのは、夫でした。 戻ってきた夫が、写真と動画をたくさん見せてくれました。画面の中に映る娘は、夫に似てすごく可愛い子でした。管に繋がれながらも懸命に生きるその姿に、再び愛おしさが募ります。
枕元で告げられる、明日の手術
看護師、小児科医、小児外科医、麻酔科医……。 横たわる私と傍らの夫に、各科の専門家たちが入れ替わり立ち替わり、娘の検査結果と今後の予定を説明しに来ました。
- 体重:2100g程度の低出生体重児で産まれたこと(直前の検診では2500g以上ありそうと言われていた)。
- 心臓: 幸いにも、現時点では手術をせずに様子を見られるということ。
- 消化器: やはり「十二指腸閉鎖」があるため、翌日の昼から手術を行うこと。
- 足:「内反足」もあるということ。
「まずは、明日手術をします」
生まれたばかりの体にメスを入れる。その事実に胸が締め付けられる思いでしたが、私たちはただ、先生方の言葉を信じて頷くしかありませんでした。
次回、十二指腸閉鎖の手術当日。手術室へ向かった娘を待っていたのは、想定外の事態でした。「挿管に2時間かかった」という医師の言葉。そこから明らかになった、娘の小さな顎(あご)に隠された真実とは。


