第1回:エコーに映った「ダブルバブルサイン」。認められなかったあの日と、胎動がくれた勇気

治療日記

こんにちは。今日から、娘の治療に関する記録を少しずつ綴っていこうと思います。

最初にお話しするのは、私たちの「はじまり」の日のことです。

順調だと思っていた妊婦生活

妊娠後期に入るまで、検診の結果はいつも「順調ですね」の一言でした。 休日に夫婦で赤ちゃん用品を見に行ったり、名前を考えたり。少しずつ大きくなるお腹をさすりながら、新しい家族を迎えるしあわせな未来だけを想像していました。

しかし、ある日の妊婦検診で、その日常は一変しました。

羊水過多と、二つの泡

「羊水が少し多めですね」 突然そう言われた妊娠28週の妊婦検診。エコー画面をじっと見つめる先生の口から出たのは、「ダブルバブルサイン」という言葉でした。

胃と十二指腸に羊水が溜まって、二つの泡のように見えること。それが意味するのは、「先天性十二指腸閉鎖症」の疑いがあるということでした。

先生は「これから大きな病院に紹介状を書きます。精査しましょう。」と慎重に話してくれました。

「違うはずだ」と信じ込みたかった

けれど、当時の私の心は、その事実を拒絶していました。 「たまたまそう見えただけじゃないか」 「これまで何も指摘はなかったし、次の検診ではきっと消えているはず」

そう自分に言い聞かせ、紹介された大きな病院へ向かう道中も、心のどこかで「間違いだと言ってほしい」と強く信じ込んでいました。待望のわが子に病気があるなんて、どうしても認めたくありませんでした。それは、絶望から自分を守るための、精一杯の抵抗だったのかもしれません。

眠れない夜、検索を繰り返して

その日から、スマホで検索を繰り返す日々が始まりました。 「羊水過多」「ダブルバブルサイン」「十二指腸閉鎖」「エコー 見間違い」……。

暗い部屋の中で、光る画面を追い続ける時間。「妊娠中羊水過多を指摘されましたが、結果問題なく元気な子を出産しました」といういくつもの自分に都合の良い経験談を読んでは、私もきっとそうだ、元気な子供が生まれるはずだと思い込もうとしました。しかし、調べれば調べるほど出てくる難しい医学用語や、不安を煽るような情報。 「この子は一体どうなってしまうんだろう」という、底なしの不安に飲み込まれそうになっていました。

胎動が教えてくれた「生きる力」

そんなボロボロの私を救ってくれたのは、他ならぬお腹の中の娘でした。

「逃げ出したい、嘘だと言ってほしい、妊娠前の状態からもう一度やり直したい」 そんな私の葛藤をよそに、娘はこれまで通り元気に、力強くお腹を蹴っていました。その胎動を感じた瞬間、ハッとさせられたのです。

「この子は私のお腹の中で、一生懸命に生きている」 「生きたいんだ」

娘からのダイレクトなメッセージを受け取った気がして、私は「クヨクヨしてばかりいられない、私が強くならなきゃ」と、涙を拭いて自分を奮い立たせました。

「お母さん」としての決意

病気が治るわけではありません。不安が消えるわけでもありません。 でも、あの日感じた胎動が、私に「逃げない勇気」をくれました。

「どんなことがあっても、私はこの子の味方でいよう」 そう決意したあの日から、私たちの本当の物語が動き出しました。

このブログが、今まさに暗闇の中で検索を繰り返している誰かの、小さな光になれば幸いです。

次回、病気の疑いが確定へと変わる中、地元から母が駆けつけてくれました。そして、娘が私を守ってくれた「羊水検査」での不思議な出来事をお話しします。

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